フィットフォーカスフィルター

概要

面倒なパラメーター指定なしに効果を得ることができます。 なんとなく甘い画像から軽いピンぼけ・手ぶれ画像まで、統計的手法で画像を解析し、高品位な補正結果を得ることができます。

一般にピンぼけ・手ぶれ画像の補正では、ぼけ幅やぶれ幅が大きくなるに従って補正効果や補正後の品質を得ることが難しくなります。 フィットフォーカスフィルターでも同様ですが、軽いピンぼけ・手ぶれ画像であれば、実寸での鑑賞に堪えるほど高品位な補正結果を得られます。

フィットフォーカスフィルターは8〜10ピクセル程度までの幅のピンぼけ・手ぶれ画像に対して高い確率で有効です。 それ以上の激しいピンぼけ・手ぶれ画像については、シェイクキャンセラーフィルター・フォーカスエイドフィルター・直線的手ぶれ補正フィルター・手ぶれ軌跡補正フィルターなどを用いて下さい。

サンプル画像については、ご案内のフィットフォーカスフィルターのページをご覧下さい。



標準パラメーター

フィットフォーカスフィルターは初期値のまま実行しても効果が得られます(自動補正)。 その補正結果に対し補正タッチなどの条件を変えたいときは、コントロールパネルのパラメーターを操作することをお勧めします。

「前ピン・後ピン」を選んだ場合には、ピント位置指定の操作が必要となりますので、「選択した指定で自動的に実行(プレビュー)する」にチェックしてOKすると、エラーになります。 その場合には、コントロールパネル下側の「指定」ボタンを操作して、ピント位置・範囲指定画面に入り、ピント位置指定の操作を行って下さい。



パラメーター

詳細な指定を行うとチェックすると、それ以下のパラメーターの指定ができるようになります。 チェックされていない場合には、該当のパラメーターはすべてグレイアウトされ入力できません。 なお、その状態でフィットフォーカスフィルターを実行した場合、グレイアウトされているパラメーターは(どのような値が見えているかに関わらず)すべて初期値で処理されます。

また、(詳細な指定を行うがチェックされた状態で)ピント位置を指定するをチェックすると、指定ボタンを左クリックしてピント位置指定を行うことができるようになります。 チェックされていない状態では指定ボタンは操作できません。

それらの他に、効果・滑らかな部分での適用比率・補正タッチ・元画像にノイズが目立つ・統計処理範囲の5つのパラメーターと、ピント位置指定があります。



効果

補正を施す強さを指定します。 100 が初期値(標準的な値)です。

このパラメーターは、元画像に補正効果を施す強さを決めるだけなので、たとえば手ぶれの程度(幅)の補正が足りないときに、効果の指定値を大きくして再実行しても、より広い幅の手ぶれの補正が行われるわけではありません。

詳細な指定を行う

滑らかな部分での適用比率・補正タッチ・元画像にノイズが目立つ・統計処理対象範囲のパラメーター値を指定する場合、および、ピント位置指定を行うためには、これをチェックして下さい。

滑らかな部分での適用比率

小さな値(スライダー左側)を指定すると、元画像中の滑らかな部分でフィットフォーカスフィルターの補正効果を抑制し、元画像で滑らかな部分は、補正結果でもできるだけ滑らかになるような調整を行います。 大きな値(スライダー右側)を指定すると、元画像中の滑らかさに応じた抑制を一切行わず、画像の全域に等しくフィットフォーカスフィルターの補正効果を施します。

初期値は 50(スライダー中央)で、50 前後の設定では、元画像中の滑らかな部分でフィットフォーカスフィルターの効果をほどほどに抑制しますので、多くの画像で適度なディテール感を伴った結果を得ることができます。

  元画像   フィットフォーカスフィルター処理後
滑らかな部分での適用比率 0
  フィットフォーカスフィルター処理後
滑らかな部分での適用比率 50
  フィットフォーカスフィルター処理後
滑らかな部分での適用比率 100
 
         

ノイズの多い画像やアップ気味のポートレート写真などでは、初期値より小さな指定値を選んで、より滑らかな補正結果を得た方が良いことが多いかもしれません。 また、滑らかな部分での適用比率の指定値を下げると、一般に画像全体を見た感触としてのシャープネスも若干抑制気味の結果となります。 そのため、極力シャープな補正結果を得たいときなど、滑らかな部分での適用比率の指定値を上げた方が、意図に沿った結果を得られるかもしれません。

画質の細部まで好みに応じた最良の結果を得たい場合には、補正結果を検討しながら調整を行って下さい。

補正タッチ

小さな値(スライダー左側)を指定すると、ソフトな印象の補正結果を得られます。 ここでソフトなタッチとは、輪郭をあまり強調せず、被写体の質感などのディテールに自然な強弱を持たせたような画質を意味します。 大きな値(スライダー右側)を指定すると、ハードな印象の補正結果を得られます。 ここでハードなタッチとは、輪郭がくっきり強調され、階調変化のある部分と平坦な部分で質感が比較的くっきり分かれるような画質を意味します。

初期値は 50(スライダー中央)で、50 前後の設定では、輪郭などがほどほどに明確化され、質感などのディテール感も画像の部位の状態に応じた補正が行われますので、多くの画像で適切なタッチの補正結果を得られます。

  元画像   フィットフォーカスフィルター処理後
補正タッチ 0
  フィットフォーカスフィルター処理後
補正タッチ 50
  フィットフォーカスフィルター処理後
補正タッチ 100
 
         
         

一般に、画像の使用サイズが小さい場合にはハード(補正タッチの指定は大きめ)な方が見栄えがしますが、画像を大きく使用する場合にはソフト(補正タッチの指定値は小さめ)な方が自然な画質と感じられます。 画像の状態や補正意図により、補正結果を検討しながら調整を行って下さい。

元画像にノイズが目立つ

画像解析時に、ノイズの目立つ画像に対して、それに応じた統計処理上の配慮を加えるためのパラメーターで、初期値はオフです。 また、ノイズを抑制するためのパラメーターではありませんのでご注意下さい。

ノイズがあまりに多い画像では、画像解析結果の信頼性が著しく落ちてしまうため、補正精度や補正結果の画質に問題を生じやすい傾向があります。 但し、ノイズの目立つ画像ならすべて補正結果が良くないというわけではありません。 元画像にノイズが目立つへのチェックは、そのような画像で補正結果が思わしくない場合にチェックを行って試してみるのが良いでしょう。

なお、元画像にノイズが目立つをチェックすると、画像を解析するときに、データの信頼度が低いことを前提とした統計処理を行うようになります。 そのため多くの画像では、元画像にノイズが目立つをチェックした場合は、控え目な補正結果となる傾向があります。 但しこれは、あくまで画像の状況次第です。

統計処理対象範囲

統計処理の対象とする画像中の範囲を選択します。 画像全域、中央69%(外縁1/12除外)、中央60%(外縁1/9除外)、中央44%(外縁1/6除外)の選択肢があり、初期値は中央69%(外縁1/12除外)です。

左の画像で画像中央の明るい部分が、「中央44%(外縁1/6除外)」の指定による統計処理対象範囲。

その外側が「中央60%(外縁1/9除外)」、更に外側が「中央69%(外縁1/12除外)」の範囲を示しています。



フィットフォーカスフィルターは画像に対して統計的手法による解析処理を行いますが、画像の外縁を統計処理から除いた方が良いことがあります。 ひとつは、画像撮影時の光学レンズの歪曲収差など、画像の外縁部で画質等に問題を生じていることがあり、統計処理の対象に適さない場合も多いためです。 もうひとつには、画像の主被写体が、画像のフチ近くの外縁部に配置されることは稀で、その一方で主被写体以外のもので撮影意図と相違してピントが合っているものが外縁部にある可能性も高く、そのような画像では画像全域を統計処理の対象として解析すると、通常は考えられないような位置へピントを合わせるような補正処理になってしまう可能性が大きいためです。

そのような事情から、初期値を中央69%(外縁1/12除外)としていますが、実際に主被写体がフチに配置された画像をフィットフォーカスフィルターで補正するときには、統計処理対象範囲に画像全域を選択してください。 また逆に、統計処理対象範囲を初期値より狭く、中央60%(外縁1/9除外)や、中央44%(外縁1/6除外)に指定することもできます。 主被写体が画像中央に配置されている画像であれば、ピント位置指定操作を行う代わりに統計処理対象範囲を絞ることで、意図どおりのピント位置をフィットフォーカスフィルターに検出させることのできる場合があります。

但し、元画像のピクセルサイズが小さい場合には、統計処理対象範囲を絞りすぎると、画像解析時に有意な結果が得られなくなりますので、小さめの画像(画像の状況によって異なりますが、たとえば1メガピクセル未満)では、むしろ統計処理対象範囲を広く指定したほうが良いかもしれません。

なお、後述のピント位置指定を行った場合、ピント位置指定画面で指定した範囲は、その一部が統計処理対象範囲の指定より外側ににはみ出ていたとしても統計処理の対象に加えられます。 その場合(ピント位置指定を行ったときの)ピント位置検出は別の方法によって行われます(統計的手法から得られる情報は様々に利用されますが、ピント位置検出には用いられなくなります)。

また、フィットフォーカスフィルターの画像補正処理は、統計処理的手法に大きく依存しています。 多くの情報を引き出せる手段であるとはいえ、統計はあくまで統計でしかないため、処理する母集団を変えれば結果にも大小の影響が生じます。 このことを逆用して、少しでも良い補正結果を得たい場合や、期待したような補正結果が得られなかった場合、統計処理対象範囲を変更して再実行してみるのも一策です。

ピント位置を指定する

ピント位置を指定するのチェックを行わない場合、フィットフォーカスフィルターは最も焦点位置に近いと思われる画像中の部位に対して、ピントが正しく合ったように見えるための補正を行います。 そのため、画像の撮影意図とは異なる部分が最も焦点位置に近い画像を、ピント位置指定なしで補正した場合には、補正結果が期待と異なるものになってしまいます。

そのようなときには、ピント位置を指定するをチェックしたうえで、「指定」ボタンを左クリックして、ピント位置・範囲を指定してください。

「指定」ボタン

「ピント位置を指定する」をチェックして「指定」ボタンを左クリックすると、ピント位置・範囲指定画面が表示されます。

ピント位置・範囲指定画面

ピント位置を指定するをチェックして指定ボタンを左クリックすると、画面がピント位置・範囲指定画面に切り替わります。 この画面では通常、画像は赤がくすんだような色で表示されます。

この画像の上でマウスを左ドラッグ操作(左ボタンを押したままマウスを動かす)すると、該当位置・範囲の赤色が強く変わり、その色の変わった範囲がピント位置・範囲であることを示します。 逆に、右ドラッグ操作(右ボタンを押したままマウスを動かす)は、赤色が強く示されたピント位置・範囲を削り取る操作となります。

ピントを合わせたい位置を示すように、ピント位置・範囲を指定できたら、決定ボタンを左クリックして、元のフィットフォーカスフィルター画面に戻ってください。 キャンセルボタンの左クリックでも元のフィットフォーカスフィルター画面に戻りますが、その操作ではピント位置・範囲は指定(変更)されません。



ブラシの種類

ピント位置・範囲の、マウス左ドラッグ操作に指定、および、マウス右ドラッグ操作による解除操作で、指定・解除の影響範囲はブラシの大きさで決まります。

ピント位置・範囲を指定するために都合の良い大きさのブラシに、随時切り替えることができます。

リセットボタン

赤色が強く表示され、ピント位置・範囲に指定された領域の指定を、すべて解除します。

ピント位置・範囲指定の使用例

全体はこのような画像です。



人物の顔よりも服装の方にピントが合ってしまい、いわゆる「後ピン」の状態のようです。

そこで、ピント位置の指定を行います。

操作は、まず「詳細の指定を行う」をチェック、更に「ピント位置を指定する」をチェックして、「指定」ボタンを左クリックです。



「指定」ボタン操作で、このような画面に切り替わります。

切り替わったら、マウスの左ドラッグで、ピントを合わせたい位置(範囲)をなぞると、ピント位置・範囲に指定された部分が赤く表示されます。 逆にマウスの右ドラッグ操作で、指定された範囲を削り取ることもできます。

左ドラッグによる指定と右ドラッグによる解除では、その影響範囲の大きさはブラシで決まりますので、随時操作し易いブラシを選択して操作して下さい。

ピントを合わせたい範囲すべてを几帳面に塗り分ける必要はありません。 さほど広い範囲を指定する必要もありません。 カメラでオートフォーカスの操作をするときのコツで、できれば被写体にコントラスト差のある部分を含めるようにして、ピント位置・範囲を指定して下さい。

ピント位置・範囲の指定ができたら、「決定」ボタンで元のフィットフォーカスフィルター画面に戻ります(「キャンセル」で戻ると、ピント位置・範囲の指定や変更が無効になります)。

元の画面(フィットフォーカスフィルター画面)に戻ったら(適宜他のパラメーターの調整も加えた後)「実行(プレビュー)」ボタンを左クリックで、フィットフォーカスフィルターを実行します。



これは暫定結果の機能を用いて、異なったパラメーターでフィットフォーカスフィルターを実行した複数の結果を比較表示させた画面です。 この画面の4分割表示内容は左から順に下記の通りです。

・ 元画像
・ ピント位置指定を行わずにすべて初期値で補正した結果(自動補正)
・ 右目にピント位置を指定して補正した結果
・ 更に「滑らかな部分での適用比率」を下げて補正した結果

左から2番目の自動補正の結果は、この画像ではピントが服に合っていたため(そこを基準に補正が行われたため)、一番大事な顔の部分ではあまり効果が得られていません。

左から3番目のピント位置指定だけを行った結果が、最もシャープに見えます。 一番右は、ピンの位置指定に加えて「滑らかな部分での適用比率」を 0 にして実行したので、肌は滑らかになりましたがシャープさは多少減じたようです。

「効果」の指定値を調整しても良いのですが、画像の最終的用途における画像の大きさが小さいときには左から3番目、画像をかなり大きく使用するときには一番右の結果が適しているのが普通です。



使用時のコツ

フィットフォーカスフィルター補正結果の輪郭に、縁取りが生じる場合があります(アンシャープマスクを施した場合に生じる縁取りほど幅の広いものではありません)。 統計的誤差や被写体ぶれのために生じるケースもありますが、元画像の撮影時に輪郭が強調されている場合、それが一層強調されて縁取りが目立つようになることもあります。

また縁取りは、画像の使用サイズが小さい場合(縮小して使用するときなど)には、むしろ画像に適度な精細感を与える効果があります。 しかし、画像を大きく使用したいときには、補正結果全体は良好でも、縁取りの部分だけが気になってしまうことがあります。

この画像の補正結果(右側)では、肩紐の部分などに縁取りが生じています。

よく見ると、元画像(左側)に既に軽い縁取りがあることがわかります。 これは、デジタルカメラでの撮影時に、デジタルカメラ内部で施された輪郭強調です。

既に強調されている輪郭が、フィットフォーカスフィルターの処理で更に強調されることで、縁取りが目立ってしまったケースです。

なお、このスクリーンショットは、画像を 200% 表示したところのスクリーンショットを2分の1縮小して掲載していますので、画像のごく一部を実寸で見ていることになります。

画像の使用サイズが小さい場合には、画像にメリハリが付くので、この縁取りは邪魔にはなりません(そのためにデジタルカメラ内で輪郭強調が行われるわけでもあります)。

しかし画像を大きく使用するときには、縁取りが気になることがあります。



そのような場合には、補正タッチの指定値を下げる(ソフトなタッチを指定する)ことで、縁取りを目立たなくさせることができますが、ここでは部分的効果(レタッチブラシ)を用いる方法をご紹介します。

フィットフォーカスフィルターの補正結果が表示された上記の画面から、コントロールパネルの「部分」を左クリックして、「部分的効果 - レタッチブラシ機能」の画面に切り替えます。

画面が切り替わったら「全域上限」ボタンで、フィットフォーカスフィルターの効果を画像全域に施した状態にします。

オプション設定の状態によりますが、適宜操作を行い現在結果だけを大きく表示させたのが左の画面です(ここでは縁取りが目立っています)。



下限効果の「効果の調整」をチェックして、下限効果に 50 程度の値を指定します。

操作に都合の良いブラシの、輪郭をぼかしたもの(右側)を選択して、画像の縁取りが目立つ部分をマウス右ドラッグでなぞって行きます(マウスの右ドラッグは、下限効果の指定値に応じて効果を削り取っていく操作です)。

画像の表示部分に関して、もうすぐなぞり終わるところが、左の画面です(縁取りが目立たなくなりました)。

下限効果に 50 程度の値を指定して、輪郭のぼけたブラシを用いているのがコツで、これならば画像の気になる部分だけを大雑把になぞるだけで、縁取りを自然に和らげることができます。



なお、ピンぼけ・手ぶれレスキュー Ver.2 からはは、レタッチブラシの軌跡を一目瞭然に示す「効果画面」の機能が追加されました。

ブラシの右ドラッグでなぞったために薄緑色に表示されているのが、ブラシ操作の軌跡です。

左の画面は、現在結果と効果画面を同時に表示させたところで、現在結果上をブラシ操作するのとまったく同様に効果画面上でもブラシ操作が可能です。





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