アンシャープマスク

概要

画像の局所毎に周辺とのコントラストを増幅して画像を引き締めるフィルターです。 処理半径が可変であることと、多くの場合、閾値の指定ができることから、一般的フィルターの中でシャープネスの補完などのために最も有用な手法です。

従来は他に有効な手段がなかったため、ぼけにもぶれにも何にでもアンシャープマスクが用いられることがありましたが、基本的にアンシャープマスクは、ピクセル毎に周辺との濃淡の差を一定の比率で増大させるという比較的単純な処理であるため、たとえば手ぶれ補正の目的に使用するのには相当に無理があります。

しかし、素直な効果が得られる有用なフィルターであることには間違いありません。

ピンぼけ・手ぶれレスキューでは単に閾値を指定するのではなく、近隣の階調差に対する適用度をグラフィカルな指定で自在に調整できるので、画像の状況や目的に応じたきめ細かいバランスを得ることが可能です。 更に彩度のモードやノイズ抑制など、強力なオプション機能を用意しましたので、一般的なアンシャープマスク機能に比べて広い用途に用いることが可能です。

しかし一般的には、アンシャープマスクは画像の広い範囲に自然なシャープネスを付与する目的に向いています。 なんにでも条件反射的にアンシャープマスクを用いるのではなく、適切な場面に(アンシャープマスクも含め)それぞれ適切なフィルターを使用することをお勧めします。



標準パラメーター

典型的な利用方法での便宜のため、以下の選択枝を用意してあります。 そのまま実行しても効果を得られますが、画像にあわせてモードや半径の指定値を調整することをお勧めします。



パラメーター

モード・半径・効果の基本的なパラメーターに加え、階調差による適用度をグラフィカルに指定できます。 更に、ノイズ抑制・半径が大きいときは速度優先の付加的パラメーターがあります。

また過去に使用したパラメーターの組み合わせを、以前の処理記録から呼び出すことができます。

慣れない方は標準パラメーターを活用して、効果を選択のうえ一旦実行した後に、半径と効果を調整するのが良いかもしれません。



モード

アンシャープマスクを施す方法を指定します。

半径

局所コントラストを求めるための半径を、ピクセル単位で指定します。

大きな半径を指定するとアンシャープマスクの効果も画像全体として強くなる傾向がありますが、単に効果の強弱を調整するためには「効果」の値を調整して下さい。 大きな半径に対して効果が強くなるのは、局所コントラストとして高い値が計算された結果です。 実際にはすべてのピクセルで効果が強くなるわけではありません。

コントラストを高めたい画像のティテールの細かさに応じた半径を指定して下さい。

効果

施す効果の強さを指定します。

ここで指定した値は、画像の部分部分で下限値・上限値・下限漸次調整域・上限漸次調整域の各指定によって調整されて適用されます。

階調差による適用度

横軸は階調差、縦軸が適用度のグラフを調整して下さい。 グラフの左側の指定レベルを高くすれば、画像中で階調差が弱い部分でアンシャープマスク効果が強く施されます。 グラフの右側の指定レベルを高くすれば、画像中で階調差が強い部分でアンシャープマスク効果が強く施されます。

一般的には上のコントロールパネル画面の例のように、グラフ左寄りの部分のレベルを高くして、階調差がほどほどの強さの部分に対して重点的に効果を適用すると、画質の荒れを抑えつつ期待される効果を強めに得ることが可能になります。 最初は標準パラメーターで選べる各種設定を試してみて、それを参考にして下さい。

なお、実際にはマーカー(小さな四角形)の位置を調整することでグラフの形を調整していきます。 具体的な操作は階調・色調補正機能のトーンカーブの操作(スムースのチェックがオフのとき)に似ています。

グラフ上のマーカー以外の場所でマウスを左クリックすると、その場所に新たなマーカーが設けられ、それに応じてグラフの形が変化します。 既にあるマーカーを左ドラッグすれば、該当のマーカーの位置を調整できます。 また、マーカーの上でマウスを右クリックするとポップアップメニューが表示され、マーカーを消したりその他の調整を行うことができます。 マーカー以外の部分での右クリックでもポップアップが表示され、元に戻すの操作を行うことができます。 いずれの場合にも、新たなマーカーの状況に応じてグラフの形が変化します。

また、実用上はグラフの左端部分の形が適用度による効果の調整上で重要なため、左部分拡大ボタンを押し込めば、グラフの左端を重点的に調整し易くなります。

更にリセットボタンは、グラフを初期状態に、即ちすべての階調差に対して適用度最大を意味するように、上側に一直線に張り付いたグラフに初期化されます。 なおこれは、世間の一般的なアンシャープマスク機能で、閾値をゼロに指定した場合と同じ状態を意味します。

ノイズ抑制

アンシャープマスクの局所コントラストを増大させる処理は、ノイズも増大させてしまうことを意味します。

これをチェックすると、アンシャープマスク処理でノイズ成分を増大させてしまうことをある程度まで抑制できます。 但し、アンシャープマスクの効果は相対的に弱くなります。

半径が大きいときは速度優先

アンシャープマスク処理は半径が大きくなるほど処理時間を要します。 これをチェックすると、処理精度を多少犠牲にする代わりに処理速度が若干速くなります。

現在は処理速度を向上させてあるので、通常はチェックしたままで大丈夫でしょう。



使用時のコツ

アンシャープマスクに指定するパラメーターは、半径が最も大きく結果に影響します。 そのような意味では、半径と効果が最も基本的なパラメーターです。

しかし実用上は、階調差による適用度による調整が勘所になります。 これは世間一般のアンシャープマスク機能の閾値のパラメーターを、きめ細かく拡張したものだとも言えます。

階調差による適用度による結果の違いのわかり易い例を以下に示しました。 一番左が元画像、左から3番目が、標準パラメーターの「標準的なシャープネス補完(強)」に相当する設定でアンシャープマスクを施したものです。 但しわかり易さのため、「標準的なシャープネス補完(強)」の設定から「ノイズ抑制」は OFF に落として比較しました(3通りの実例すべて)。 なお同じくわかり易さのため、少し強めの効果を施した例としてみました。

左から3番目の「標準的なシャープネス補完(強)相当」を基準にして比較すると、左から2番目の「階調差が弱いときの適用度を落とさない」例では、コジュケイの羽毛の比較的滑らかな部分が、毛羽だった質感になってしまいました。 階調差が弱いときの適用度を落とすのは、これは世間一般のアンシャープマスク機能の閾値を使用するのと同じことです。 但し、ピンぼけ・手ぶれレスキューのアンシャープマスクでは、グラフからもわかる通り階調差のレベルに応じて滑らかに効果の適用度を対応させることができます。

左から3番目の「標準的なシャープネス補完(強)相当」を基準にして比較すると、一番右側の「階調差が強いときの適用度を落とさない」例では、コジュケイの目のキャッチライトなどコントラスト差の強い部分で階調遷移に滑らかさを失ってしまいました。 キャッチライトに関しては、ほぼ白飛びを招いています。 階調差が強いときの適用度を落とすことにより、実質的に同程度の効果を得るのに、そのような破綻を避けることができます。 即ち、破綻を避けたまま、より強い効果を得られることを意味しています。

  元画像   階調差が弱いときの適用度を落とさない   標準的なシャープネス補完(強)相当   階調差が強いときの適用度を落とさない  
 
         
 
    モード RGB
半径 7.0
効果 50
適用度 [以下]

ノイズ抑制 OFF
速度優先 OFF
  モード RGB
半径 7.0
効果 50
適用度 [以下]

ノイズ抑制 OFF
速度優先 OFF
  モード RGB
半径 7.0
効果 50
適用度 [以下]

ノイズ抑制 OFF
速度優先 OFF
 
 
  原寸のまま頭部から胸部のみにトリミング
 
 
  元画像 (3,039,069 bytes)   処理後全体 (4,192,431 bytes)   処理後全体 (4,026,751 bytes)   処理後全体 (4,030,464 bytes)  


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